高齢化が進む中、認知症患者が急増しています。
介護をしていらっしゃるご家族の中には、本当は辛いと思っているのに何も言えず人知れず頑張りすぎる方も少なくないと聞きます。
今回はそんなお悩みを持つご家族の方に、重度の認知症患者を介護していた経験がある私から、メッセージを送りたいと思います。
スポンサーリンク
わかっているけど怒ってしまう
よく、「患者が一番辛い」といいますよね。
確かに結論から言うとそうなのかもしれません。
誰もなりたくて認知症になるわけじゃないと。
でも、介護をしている方だってそれは同じです。
たまたま自分の親族が認知症になり、介護せざるを得ないだけなのです。
綺麗事では決して済まされない介護。
一日中介護するのはとても大変なことです。
認知症初期の頃は、自分で認知症という自覚もなく、そこでまず衝突することもあるでしょう。
だんだん症状が進んで、暴言暴力が酷くなることもあるでしょう。
そんなとき、昔とは別人になってしまった家族を理解するよりも先に自分の怒りが起きる場合だってあります。
だって、介護してる側だって人間です。
心の余裕がないときだってあります。
寛大な心をと言われても無理だわ!
私はダメな人間だ…
なんて決して思わないでください。
それが当たり前です。
特に家族だからそれは当たり前。
疲れたときは、いろいろなサービスを利用したり、パートナーに頼んだり、決して1人では抱え込まないでください。
あなたは決して悪くありません。
家族の誰も介護に理解を示してくれない。
ということもあるかもしれません。
そういう時は同じような仲間を探すことも必要です。
今は認知症家族の集まりのようなものもありますし、私が勤めていたところでは、患者様のご家族がお見舞いにこられて顔を合わせ、仲が良くなりプライベートでもお食事をされていたりしました。
同じ悩みを持つ方との交流は、本当に大事です。
無理に合わない人と交流するのではなく、自分と同じような感覚の方と少しお話しするだけでもだいぶ違いますので、吐き出すことをお勧めします。
他の患者と何かが違う
認知症には様々なタイプがあります。
一般的に多い アルツハイマー型認知症を始め、血管性認知症、その他レビー小体型認知症や前頭側頭型認知症など、いろいろなタイプがあります。
病名はわかっていても、ご自分の家族どの認知症なのかをあまり理解せずに、とても悩むご家族が結構いらっしゃいます。
周りの認知症の人よりもうちのお母さんの行動が特に酷い。
とか、
なんでうちの父親だけが暴力を振るうんだろう。
とか、
私もいろいろとご家族に相談されました。
実際、病名はアルツハイマー型認知症だけれども違う症状が強く患者様もいらっしゃいましたし、ミックスされている症状の患者も中にはいます。
必ずしも型にはめて考えすぎないことが大切です。
インターネットや本に書かれている症状だけを信じることはやめ、ご家族の症状はこれだと理解することが、悩まない第一歩です。
情報を持ちすぎることが、返ってストレスになることもあります。
モチベーションが上がらない
認知症の患者を介護していると、なんだか一方通行に介護をしているような気がしてモチベーションが保てない場合があります。
まるで自分のことをすっかり忘れてしまったような態度をとられてとても歯がゆい感じになり、虚しくなってしまうご家族もいるようです。
私が沢山の認知症患者を介護していて感じたのは、全て忘れているわけではない、ということです。
ご家族がお見舞いにいらっしゃった後、とても嬉しそうにしていらっしゃる患者様は沢山おりました。
中にはご家族が子供の頃の話しを話してくださる方も。
旦那様がお見えになられて、生き生きとされる患者様もおりました。
もう話せなくなっている患者様も、ご家族のお見舞い後はとても穏やかな表情をされていました。
私は認知症の患者様は、全てを忘れているわけではないと感じています。
医学では証明されない、何か人間の不思議な力が働いて、覚えているんだと思います。
認知症になる前の記憶というのは、実はどこかでとてもしっかりしていて、その後の感情はまた違う物のような気がしています。
過去にあなたと過ごした時間は、決して無駄でははなく、きちんと心に残っています。
まとめ
認知症の介護が辛いと感じた時は
・しっかり息抜きをする時間をつくる
・本やネットに載っている症状が全てではないと割り切る。
・無理にモチベーションを上げず、今の状態の前のこともたまに思い出させる。
なかなか毎日のことですので、いっぱいいっぱいになることもあるかと思いますが、ご自分のペースで、デイサービスなどを利用して、どうしても無理な時はそのサービスの方に相談するなど、決して1人で抱え込まないでください。
周りを見渡せば、あなたの味方は沢山いますよ!頑張りすぎず、です!
スポンサーリンク